「浄土双六」とは

「浄土双六」とは

PLENLUNOによる現代語訳・復刻版

浄土双六(じょうどすごろく)とは、「スタートを人間(の住む場所)、ゴールを浄土、とする“すごろく”」のこと。

浄土とは、「仏様のいらっしゃる場所」のこと。たとえば、阿弥陀如来さまのいらっしゃる浄土といえば西方極楽浄土であり、薬師如来さまであれば東方瑠璃光浄土である。

浄土双六には亜種が多々ある。
色彩豊かなものから、白黒のもの。絵つき、文字だけのもの。
マス目に描かれるものにも種々様々である。名だたる僧侶たちや妖怪のオンパレード、西方極楽浄土に寄せたもの、道徳的なものなど。

なぜ「浄土双六」は、つくられたのか。
なにをもとにして「浄土双六」は、いつ、うまれたのか。
なぜ「浄土双六」は、すたれたのか。
…諸説あり、いまも研究が続けられている。


「浄土双六ペーパークラフト」製作へ

あるとき、このような思いを持ちました。
「お寺や仏教をテーマにしてボードゲームをつくったらどうか」
そこで歴史をひもといてみると、「浄土双六」と出会いました。
中身を調べてみれば、お坊さんが製作サイドにいるであろうことが推察されました。
江戸時代の辞書には、浄土双六製作のいわれとして、小僧の勉学のため、とありました。
この記述が本当かどうかは分かりません。
事実には近いのではないかと考えました。
さらに言えば浄土双六製作の意図は、お坊さんによる勉学のためだけではなかったのではないか。
布教のためにも、法具ではなく、遊具が作られていたのではないかとも。

上述の画像のものは、素敵な彩色がなされています。しかし、日本のとある美術館には、このタイプの「浄土双六」の、モノクロ版、カラー刷り版(数色)が存在しています。
そして、上述の画像のものには、“折りたたまれた跡”があります。いつ折りたたまれたのかは分かりませんが、ここまで素敵な彩色であるにも関わらず、掛け軸になっていない(上述の画像は、わたしが軸装したものです)。持ち運びしやすいように、しまいやすいように、折りたたんだのではと推察されます。
熊野比丘尼が熊野勧進十界曼荼羅の絵解きをしたように、参拝者へのふるまいや参拝土産があったように、このすごろくも活用されていたのではないか。
すべて想像です。
しかし、「浄土双六」によって、そこにお坊さんがいなくとも、遊びを通して、仏教やお寺の文化に触れることができるのは間違いないところでありましょう。

「浄土双六」の存在を多くの方に知っていただきたい。遊びを通して、仏教やお寺の文化を自分の身に寄せていただく方法を模索していきたい。そのように考え、2018年『浄土双六ペーパークラフト』を製作、頒布いたしました。